「学び×テクノロジー」が起こすイノベーションとは?

 こんにちは。

 名古屋にある子供向けの音楽教室、徳川ミュージックアカデミーの伊藤明生です。

 

 一年前、私が音楽教室を始めるにあたり、とても影響を受けた1冊の本があります。それは「世界はひとつの教室」という本。

 著者は、カーンアカデミーというオンラインの教育プラットフォームを創った、サルマン・カーンさん。

 

 教室を始めるずっと前から、「学び」とは?、という問いかけを自問自答していた私にとって、この本を初めて読んだ時に衝撃が走ったことを覚えています。

 

 先日、久しぶりに本書を読み返してみて、改めてすばらしな〜と思ったので、この機会にカーンアカデミーについての説明を少してみようと思います^_^

 

 カーンアカデミーは、「質の高い教育を、無料で、世界中の全ての人に提供する」というミッションを掲げ、世界中の人へオンライン授業を提供しています。おそらく日本ではあまり馴染みのない名前だと思いますが、アメリカを中心に世界中でとても多くのユーザーを持っており、あの有名なビルゲイツやGoogleなどから財政的支援を受けている非営利教育団体です。

 

 では一体どのような学習方法を提唱しているのでしょうか?

 

 シンプルにいうと、学校の教育に関して、普段学校の教室で受けているような受動的な授業は、学校以外の場で学習をして、学校の授業では、生徒が十分に理解できていない問題の解決に時間を充てる、ということ。

 要するに、「自宅で講義を受け、教室で宿題をやる」という「反転授業」をすすめているのです。

 学校の貴重な授業時間は、生徒達がお互いに意見を出し合いながら学び合える能動的な場にするべき、ということを本書の中で強く主張しています。

 そして、その学校の外で自主的に学習ができる場を提供しているのが、カーンアカデミーというオンライン場の教育プラットフォームなのです。

 

 また、サルマン・カーンさんは、(例えば数学であれば)とある単元を完全に理解をしていないのに、どんどん次の単元に授業内容が進んでしまっている現在の授業方針について「スイスチーズ的学習」と呈しています。

 これは例えば、テストの合格基準が80点だとすると、間違えた20点分は十分に理解できていないのに、理解しているとみなされて次の新しい内容に進んでしまうということにも置き換えれます。

 この部分が、チーズのように表面はしっかりしているように見えて実は、中身は穴だらけというわけです。それが、後にふとしたところで壁にぶつかってしまう原因になると説明しています。

 

 これを踏まえ「完全習得学習」という視点をとても重要視しています。完全習得学習とは、その名の通り、一つの学習内容に対して十分に理解をしてから、もっと高度な内容に進むべきという考え方です。

 大切なことは、高いレベルの理解度であり、その理解に要する時間は個々でばらばらでも良いということ。

 

 サルマン・カーンさんは、誰でもいつでもマイペースに学習ができるオンライン授業を創り、この理解の質を上げようとしているのです。

 

 テクノロジーがものすごいスピードで進化している時代に、これまでの伝統的な学校の学習方法が最適かどうかは、疑う必要があると私も思います。そして最近では、ITを使った新しい学び方がどんどん生まれています。

 

 さらに、米デューク大学のキャシー・デビットソンがこんな予測もしています。

「労働環境がめまぐるしく変化する今、2011年に小学校に入学した子ども達の65%が、大人になったときに、現在存在しない職業につくだろう」

 これだけめまぐるしいスピードで社会のシステム全体が変わっていくので、これまでの受動的な学習の仕方では、たしかに自分の頭で考えるという力が中々身につかないかもしれません。

 

 それゆえに、カーンアカデミーのように、生徒が自分たちのペースで学習をすることで、自らの学習に対して責任を持つようになり、そうすることで積極的に物事に取り組むようになれば、子供たちにとっても非常に良いことだと思います。

 

 私たちも、子供たちへ音楽を教える立場の人間として、学ぶべき内容が多く、とても勉強になりました。

 

 カーンアカデミーのビジョンに関してもっと知りたい方はぜひ本書を読んでみることをオススメします^_^

 

世界はひとつの教室 「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション

 

 では今日はこの辺で♪